殺人罪で死刑執行、でも被害者は生きていた・・・
中国のことと笑っていられるかどうか。
http://www.excite.co.jp/News/odd/00081119055138.html
「 中国で肉屋の男性がウェイトレスを殺害したとして処刑されたが、一転、被害者が生きていたのが判明し、男性の子どもらが父に下された有罪判決に抗議している。最近の中国で世間の注目を浴びた裁判所による大失態は、これで2度目になる」というロイター電です。
死刑関連サイトで私が愛読しているのは
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/7136/linker.html
です。
ポイズンピルその後
西尾幹二大先生のブログに次のような記載がありました。
鹿子木決定批判のようです。なかなか面白いですよ。
http://nishio.main.jp/blog/archives/2005/06/post_180.html
http://nishio.main.jp/blog/archives/2005/06/post_181.html
医療訴訟におけるカンファレンス鑑定方式
医療訴訟では、鑑定人をどう確保し、いかに速く正確な鑑定をしてもらうかが課題です。
東京地裁などでは一時期、
複数の医師に法廷に集まってもらい、口頭で意見を述べ合ってもらうという
「カンファレンス方式」を宣伝していたことがありました。
それについて、最高裁の諮問機関は、両論併記の意見書を出しています。
まあやや否定的なニュアンスの方が強いようにも思いますし、
そのような報道も一部にありました。
当該方式を始めた当時のメンバーは今や医療集中部からは姿を消しているのが
印象的ですね。いずれにせよ、あまり強引なやり方はよくない、ということでしょうか。
専用実施権与えても差し止め請求権
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050617k0000e040057000c.html
原判は判時1870-84ですね。
一審判決も載っています。
なんと、地裁の裁判長が三村さん、それをひっくり返した高裁の右が設楽さんと
「青色ダイオードコンビ」です。
所有権と用益物件の場合のアナロジー、
あるいは、判決文にも引かれている特許法100条1項の明文規定を考えれば
当然の結論のようにも思えますが、
判時によると、「差止請求権を否定する見解を採る」文献も散見されるようですね。
専用実施権の設定に際して考えられる障害が一つクリアされることになるのでしょうが、
さて、実務上どのくらいの影響があるものなのでしょうか?
薬害エイズ名誉棄損訴訟(追記)
昨日の新潮社v.安部訴訟の決定についてですが、
新潮社は上告しかしていなかったんですね。
関係者からご指摘をいただきました。
上告受理申し立てもしていれば結論は別だったかもしれませんね。
薬害エイズ名誉棄損訴訟
http://www.nnn24.com/37351.html
相当性要件について何らかの規範が示されるのかと期待していましたが、
見事に外れました。
原審がちょっと、真実性から相当性にジャンプしているとも評されるつくりだったので、
結論自体は妥当なところかもしれません。
「表現の自由を重視」ととらえる向きもあるでしょうが、
この小法廷はあのテレビ朝日ダイオキシン訴訟の逆転判決を書いたということは
頭の片隅においておいたほうがよさそうだ、とだけ言っておきましょう。
ただ、当時とただ一人違うメンバーである才口裁判官が
何らかのイニシアティブをとった可能性はあるのかもしれません。
この前のNHKに訂正放送を命じた東京高裁判決を破棄してましたしね。
それよりも面白いのは、
「新潮社の敗訴は確定/『安部元副学長は殺人容疑者』記事」
http://www.asahi.com/national/update/0616/TKY200506160170.html
です。裁判長でもある島田裁判官の反対意見にご注目。
まあ、薬害エイズ禍という事実を前提に彼を「殺人容疑者」と呼ぶのは意見・論評だ
といわれれば、それはそうかなという気もしますが・・・。
それはともかく、島田、泉両裁判官は意見が合わないようですね。
今後も注目です。
敵対的買収vs.ポイズンピルに決着
東京高裁決定理由の要旨↓
http://www.asahi.com/national/update/0615/TKY200506150244.html
大方の予想通り?、高裁も仮処分を認可しました。
予想通りとはいっても、
裁判官の間では「どちらでも書ける。どこに線を引くかの問題」という感覚が主流で、
「どうみてもダメ」というニッポン放送とは若干違った受け止められ方だったようです。
仮処分でも、週刊文春とかUFJとか高裁で逆転した例もありますが、
あのときは地裁は9部(保全部)。
今回は8部(商事部)という専門家が2回、ダメ出しをしたものですから、
ちょっとひっくり返しにくかったのでしょうか。
さらにいえば、仮処分の特別訴訟をアピールしたい? 裁判所としては、
結論があまりころころ変わるのをよしとしない空気も流れている感じです。
・・・というのは、雰囲気の話。
本筋でいうと、高裁決定は、株主総会至上主義とでもいうべき権限分配論はとらず、
損害論一本で勝負してきました。
私見では、損害はあったともなかったとも言えそうで、
債権者側の疎明が不十分にも映ったのですが、
「不測の損害はあった」と、ここは地裁の2つの決定と同様の判断をしているようです。
ちなみに、債務者側が「プラン発表後も実際の株価は下がっていない」と主張したところ、
高裁は「プランは難しいからふつうの株主がすぐにわかるものではない」とのたもうたそうです。
じゃあ株価っつーのは一体どうやって形成されるのか、とつっこみたくもなりますね。
あと、地裁で問題になっていた、ニッポン放送事件の有事4要件を
平時に転用することの是非、といった問題についても決着をつけてほしかったように思います。
雑駁な感想でした。
裁判員制度の説明会
各地で開かれています。
例えば長野では↓
http://www.shinmai.co.jp/news/20050607/mm050607sha7022.htm
4月には「裁判員 初の模擬裁判は非公開」
と冴えた見出しを立てた信毎でしたが、
今回はおとなしめですね・・・。
高利の貸金業者が倒産した場合の過払い金返還請求権の行方
いわゆるライフ事件最高裁判決が出ました。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1G09037%2009062005&g=K1&d=20050609
http://www.asahi.com/national/update/0609/TKY200506090156.html
朝日新聞のペーパー版には、概略
「現行法のもとでこの問題に対処するには
(1)過払い金返還請求権を、共益債権と位置づける。東京地裁はアエルの手続きでこの方法を認めた。
(2)裁判所が代理委員(最近の会社更生法で権限が強化された)を選び、借り手に債権届け出を催告する。
という2つの手段があり、裁判所がどちらかを選択すべきだ。
ライフの場合はこうした手段がとられなかった」
といった解説がついていました。
まあ裁判所は「手段をとらなかった」と言われても困る、というかもしれませんが・・・。
要は借り手側弁護団の知恵と腕力、ということになってくるのでしょうか。
それにしても(1)はアクロバティックですよね。
会社更生法には明文規定はないはずですが、
・ライフに中小・零細企業の顧客が多い
・改正会社更生法には、中小企業の連鎖倒産を防ぐためには、
更生計画の認可前でも更生会社に返済させることができる規定が盛り込まれている
といった点を総合考慮したと聞いたことがあります。
やっぱり筋は(2)でしょう。
この場合は代理委員の費用の問題が出てくるのかもしれません。
あるいは、他への波及効果を裁判所がおそれたのでしょうか。
まあ、推測にすぎませんが。
裁判員制度と社外取締役
47thさんのブログ
http://ny47th.com/fallin_attorney/
に「裁判員制度≒社外取締役?」という記述があり、「言い得て妙!」と膝をたたいてしまいました。
まあ要するに、「今まで密室だったと議論の場に外部の目を入れ、透明化したという『形』をとる」、
「多様化、複雑化する判断の正統性を、透明化したという『形』によってはかろうとする」、
そして、「実質においては、本来の意思決定機関の機動性、迅速性を逆に確保する要素も持つ」
という点において、確かに共通していますよね。
裁判員制度については、引き続きいろいろと考えてみたいと思います。