le Quatorze Juillet -2ページ目

特捜と検察審査会

「山崎拓氏は起訴相当」


http://www.asahi.com/national/update/0727/TKY200507270181.html


検察というのは極めて政治的な生き物ですから、

時の政権の中枢に斬り込むことはしないわけです。


ただ、一方で世論の動向をうかがうという点でも政治的であるわけです。


前者を代表するのが検察首脳、後者を代表するのが特捜の現場と単純化できるかどうかは別ですが、

まあそういう傾向はありそうです。特に日歯なんて典型的ですね。


その両者の妥協点が従来は、起訴便宜主義、起訴権の独占を悪用した

不透明な不起訴だったわけですが。


検察審査会が機能してくるようになると、その妥協点が動くこともありう、ということになりそうですね。


一つのケースだけでは断言できませんが、注目です。

特捜から裁判員へ


同じことを書いた2つの記事です。


専門の検事養成 裁判員制度、東京地検に担当部新設↓

http://www.asahi.com/national/update/0721/TKY200507200462.html


東京地検:闘う頭脳集団「特別公判部」廃止へ 組織改編で↓

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050723k0000e040075000c.html


まあ特別公判部といえば第2特捜部のような存在でしたから、
大きな流れで言えば、検察の顔が特捜から裁判員へ、ということになるのでしょうか。

特捜というと思い浮かべるのが、リースマンの「贈収賄の構造」と、
岡林の「おまわりさんに捧げる唄」です。古い?


藁の中からの養子


ほかの人から譲り受けた子どもを実子として届け出たものの、
後から実子でないことが問題化した場合の子どもに相続を認めた判例です。

といっても遺言の解釈によるものですが・・・。

新聞記事↓

http://www.asahi.com/national/update/0723/TKY200507230245.html

最高裁HP↓

http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/b965428d39e0e95f49257046001cbcab?OpenDocument


 >Aは,Bとの間に子がなかったため,C夫婦の間に出生した上告人をA夫婦の実子として養育する意図で,上告人につきA夫婦の嫡出子として出生の届出をした こと,
 上告人は,昭和18年1月20日に出生してから学齢期に達するまで,九州在住のC夫婦の下で養育され,その後,神戸市在住のA夫婦に引き取られた が,上告人が上記の間C夫婦の下で養育されたのは,戦中戦後の食糧難の時期であったためであり,上告人は,A夫婦に引き取られた後Aが死亡するまでの約 39年間,A夫婦とは実の親子と同様の生活をしていたことがうかがわれる。
 そして,Aが死亡するまで,本件遺言書が作成されたころも含め,Aと上告人との 間の上記生活状態に変化が生じたことはうかがわれない。
 以上の諸点に加えて,本件遺言書が作成された当時,上告人は,戸籍上,Aの唯一の相続人であったこ とにかんがみると,法律の専門家でなかったAとしては,同人の相続人は上告人のみであるとの認識で,Aの遺産のうち本件遺言書1項から3項までに記載のも の以外はすべて上告人に取得させるとの意図の下に本件遺言書を作成したものであり,同4項の「法的に定められたる相續人」は上告人を指し,「相續を与へ る」は客観的には遺贈の趣旨と解する余地が十分にあるというべきである。


ということです。
最も面白い論点は上告受理申立て理由から排除されていたようです。

サイバー取締法案と令状主義

落合弁護士のブログ

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050720

に「サイバー取締法案」についての記載があり、
令状主義が守られるかどうかは結局は裁判所にかかっている、
といった趣旨のことが述べられているわけですが、
その中に
「そもそも、任官後1年とか、2.3年しかたってない判事補程度に、
令状をいじらせていること自体が、裁判所の令状に対する感覚を示していると言えるでしょう」
とありました。

なるほどね・・・と思う半面、東京の14部などでも、
判事補「程度」だからこそ令状に真摯に取り組んでいる(と思える)
人たちを目にすることもあるし、
他庁でも、刑事裁判官プロバーになり切る前だからこそ
検察庁の組織的なプレッシャーを感じずに冷静な判断ができる(と思える)
人たちに出会ったこともあります。
まあ少数派かもしれませんが。

余談ながら、現在S高裁A支部のT判事が令状問題で議論を呼んだのも
未特例判事補のころでしたね。

以上、もちろん落合弁護士の論旨に異論を唱えるものではありませんが、
思い付いたままにひとこと。


白紙調書

山梨県警の白紙調書事件

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050721i106.htm


白紙調書が「配慮を欠いていた」という副署長のコメントが、
なかなかのんびりしていて山梨らしい、というと怒られるでしょうか。

10年ほど前、福岡県警南署では署長の自殺にまでつながったのを思い出します。

捜査の可視化論議に格好の材料を提供した、ともいえます。

高裁刑事の壁


落合弁護士のブログに次のような記載がありました。


http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050716


>高裁で国選事件の弁護人をやっていると、巨大な壁に向かってテニスの壁打ちをしているような感じで、ほとんど何を言っても通らないという状態なので、これだけ何を言っても通らなければ、絶望した被告人に、「もう犯罪を犯すのはやめて2度と高裁に来ないようにしよう」と思わせる犯罪抑止効果すらあるのではないか、と、ふと思うことがあります。

言いえて妙ですね。

特に最近は控訴審での1回結審が増えました。

T高裁のK部総括について、別の弁護士がある事件について
「あの部で無罪なら、世界中どこの裁判所にいっても無罪だ」
と言っていたのを思い出しました。

最高裁判事に古田氏

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050715ia05.htm


古田氏といえば、
「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」(いわゆる盗聴法)
の「生みの親」として知られていますね。

福田博さんは「1票の格差」訴訟、国籍に関する様々な訴訟など、
いろいろな意味で個性を発揮された方でした。

古田氏はその後任として恥ずかしくないものを残せるかどうか、注目です。

憲法訴訟

在外投票、初の憲法判断へ

http://www.asahi.com/national/update/0713/TKY200507130394.html


やっと最高裁大法廷も活気づいてきたようですね。

行政事件訴訟法改正のほか、

憲法裁判所論議もいい意味で追い風になっているのでしょうか。

女性判事の辞任


といっても米連邦最高裁の話です。

http://news.www.infoseek.co.jp/world/story.html?q=02mainichiF0702m177&cat=2

女性初、というよりも、中道派で、常にキャスティングボードを握る存在として注目されてきました。

5対4になる最後の一票、というわけです。

どこかの国では、全判事中最右翼、ウルトラ保守派の女性判事もいるようです。

では質問です。どこの国でしょう?

個人課税と世帯課税(2)

ToshiさんにTBをいただきました。ありがとうございます。

あの悪名高いストックオプション判決を出した第三小法廷に当たったのが悪かったか・・・
などとも思いましたが、
ほかの小法廷でも、法令違憲は勿論、適用違憲を認めるのもややきついかなとも思いました。


私見では、一審判決の解釈の方が説得的ですけどね。
時間のあるときに続編をアップします。