最高裁裁判官の国民審査アンケート(その3) | le Quatorze Juillet

最高裁裁判官の国民審査アンケート(その3)

これでとりあえず終わりです。


 (7)大きな税務訴訟が増えている。憲法の租税法律主義の精神をどう生かすか。

 ★この質問には、ほかの質問でノーコメントを決め込んでいる人も結構踏み込んで答えていますね。なぜでしょう。


 古田 それぞれの事件の事案を踏まえて考える。

 中川 憲法上の原則であるから順守すべきは当然であり、法の不備は立法府の問題と割り切るべきものと思う。

 堀籠 税務当局において法律の明文に基づく課税であるとの立証が必要であり、その立証がない限り憲法の趣旨に反するとの立場から審理すべきものと考える。

 今井 常に新しい形の取引が生じ、既存の税法とのずれが生じている。そのすき間については、租税法律主義の精神を尊重しつつ、事案に即した判断をすることになる。

 津野 租税法律主義の精神を尊重することは当然。個別の具体的事件についてどう生かすかは、結局ケース・バイ・ケースで考えていくことになる。

 才口 国の存立との相対的調和。


 (8)司法の行政チェックを活性化する行政事件訴訟法改正が実現した。今後の司法と行政の関係のあり方は。 ★なかなかみなさん積極的ですね。


 古田 行政と司法は役割や判断方法に違いがあり、その点を踏まえた対応が必要だが、個人の権利・利益を守るための手続きや要件に合致しているかどうかについてチェックすることは裁判所の重要な役割と考えている。

 中川 三権分立制度は歴史的に民主的国家では不可欠な制度だ。行政チェックは司法の重要な役割であり、今後も強化される方向になると思う。

 堀籠 司法による行政のチェックは、行政実体法がどのような要件を課しているかにかかると思う。法が大幅な裁量権を行政に与えているときは、司法によるチェックはかなり難しいが、法による行政を実現するために具体的な要件が定められれば、司法によるチェックはやりやすくなると思う。

 今井 行訴法などが整備されたので、その適切な運用によって、行政に対するチェック機能が果たせると考える。

 津野 行政機関による事前規制の整理合理化などにより、司法機関などの判断に基づく処理の場面が増すと考えられる。そういった意味で、司法の判断が行政に及ぼす影響は従来より大きくなると予想される。このことは、行政の裁量を狭め、透明性の向上という面で、好ましい影響が出るのではないかと思うが、他方、司法の判断の迅速性、統一性が更に求められるようになると思われる。

 才口 相互の牽制(けんせい)と協調が肝要。

 
(9)靖国神社参拝の経験、予定は?

 ★意外にみなさん参拝してますね。古田さんの明快さが気持ちいいですね。

 古田 参拝したことも、予定もない。

 中川 参拝経験はある。他の神社仏閣に参拝するのと変わらないので、今後も参拝はあり得る。

 堀籠 初詣でに行ったことはあるが、公的な立場での参拝は全く考えていない。

 今井 旅行などの際に各地の神社やお寺に参拝するのと同様、参拝したことはある。公的な立場での参

拝は全く考えていない。

 津野 参拝したことはあるが、今後の予定はない。

 才口 弁護士時代に参拝した経験はあるが、当面は参拝の意思も予定もない。