最高裁裁判官の国民審査アンケート(その2) | le Quatorze Juillet

最高裁裁判官の国民審査アンケート(その2)

続きです。


 (4)家族のあり方をめぐる司法判断が注目を集めている。非嫡出子(婚外子)の法定相続分を嫡出子の半分とした民法の規定の合憲性は。

 古田 個別の案件にかかわる可能性のある質問で、意見は訴訟での検討を経た上で裁判において明らかにすることが適当と考えるが、婚姻を基礎とする共同体としての家族のあり方や財産の帰属に関する一般の認識と、婚外子の利益の調整の問題と思う。

 中川 意見は差し控える。ただ、国際連合の人権委員会から民法を含む法改正のための勧告がなされていることをふまえて立法的解決を期待したい。

 堀籠 意見は差し控える。この問題は、立法的解決が一番望ましいと思う。

 今井 意見を差し控えさせていただきたい。

 津野 回答を差し控えたい。

 才口 自分の意思ではどうにもならない出生により取得する社会的身分による差別は違憲。


 (5)憲法の政教分離原則をめぐる訴訟の審理では、どんな筋道で考えるか。

 古田 個別の案件にかかわる可能性のある質問で、意見は訴訟での検討を経た上で裁判において明らかにすることが適当と考えるが、基本的には一般的な社会慣行として許容される範囲にとどまるものかどうか、あるいは合理的な非宗教的目的かどうかということだと思う。

 中川 現憲法は、信教の自由の保障を強化するための手段として政教分離を制度として保障したものと解する。国家と宗教との分離にも一定の限界があり、許される行為かどうかの判断には目的効果基準を用いるのが妥当と思う。基準の適用に当たって緩やかになりすぎないかに留意する必要がある。

 堀籠 意見は差し控えさせていただく。

 今井 意見を差し控えさせていただきたい。

 津野 回答を差し控えたい。

 才口 事件に即応して政教分離原則などを検討し判断する。


 (6)企業買収や合併が活発化し、株主と、経営者や債権者などの利益が衝突する法的紛争が増えると予想される。両者のバランスをどうとるべきか。


 古田 個別の案件にかかわる可能性のある質問で、意見は訴訟での検討を経た上で裁判において明らかにすることが適当と考えるが、ご指摘の利害だけではなく株主間の利害にもかかわる面があり、様々な角度から検討すべき問題と思う。

 中川 法律の整備がなされていない現状では、個々の事件で具体的妥当性ある判断をするという以外にない。

 堀籠 意見は差し控えさせていただく。

 今井 企業の社会的責任を念頭に置きつつ、具体的な事案に応じて判断をすることになる。

 津野 企業買収や合併の目的、企業の規模、業種、経営内容など具体的な事項を抜きにして、一般論として答えることは難しいと考える。

 才口 行政的解決と司法的解決の利害得失を判断基準とする。